
仕事には行けるのに、家に帰ると何もできない
「まだ働けているから大丈夫」で終わらせる前に見たいこと
金曜日の夕方。
今日も仕事には行けた。
頼まれた仕事もこなした。
人とも話した。
大きなミスもなく、一週間を終えた。
ところが家に帰って、いったん座ると動けない。
夕食を考えるのもしんどい。
お風呂に入るまでに時間がかかる。
洗濯物は見えているけれど、そのまま。
本当は見たい動画や、やりたいこともあったのに、スマートフォンを眺めながら夜が終わる。
そんな日が続くと、
「仕事には行けているんだから、まだ大丈夫」
と思う一方で、
「家のことくらい、もう少しできるはずなのに」
と自分を責める人もいます。
先に全体像をお伝えすると、
仕事に行けていることと、生活に使える余力が残っていることは、同じではありません。
帰宅後に動けない背景には、
疲労。
睡眠不足。
仕事量。
人間関係。
仕事中の緊張。
心身の不調。
など、いくつかの要因が重なっている場合があります。
「怠けているのか」「うつなのか」の二択にする前に、まず今の状態を分けて見てみます。
「仕事ができている」だけでは、使っている力は分かりません
同じように出勤している人でも、仕事を終えるまでに使っている力は違います。
仕事中には、
時間を守る。
人と話す。
相手の反応を見る。
仕事を切り替える。
ミスをしないよう確認する。
予定外の依頼へ対応する。
など、仕事そのもの以外にも多くのことを行っています。
周囲からは普通に働いているように見えていても、
一日の中で使える力のほとんどを、仕事で使っている
という状態も考えられます。
厚生労働省委託「こころの耳」の疲労蓄積度セルフチェックでも、疲れやすさや朝の疲労感だけでなく、仕事の精神的負担、人間関係、自分のペースでできない仕事、勤務時間外にも仕事が気になること、睡眠時間などをまとめて確認します。こころデジタル
つまり、
「仕事に行けた」
という一つの結果だけでは、今の負荷全体は分かりません。
「できていること」と「残っている余力」を分けてみる
今回の記事で一つだけ分けるなら、ここです。
できていることと、
そのあとに残っている余力。
たとえば、
仕事には行けている。
でも、帰宅後は食事の準備ができない。
仕事では人と話せている。
でも、帰宅すると誰とも話したくない。
勤務中は集中できている。
でも、休日になるとほとんど寝て終わる。
この場合、
「仕事ができているから問題ない」
とも、
「家で何もできないからダメ」
とも言い切れません。
見る必要があるのは、
一日の中で、どこに力を使い、どこで力が残らなくなっているのか
です。
帰宅後だけを見るより、「一週間の変化」を見てみる
一日だけ疲れて動けないことは、多くの人にあります。
だから、一晩動けなかっただけで病気を考える必要はありません。
一方で、
最近ずっと帰宅すると動けない。
休日もほとんど寝ている。
寝ても疲れが取れない。
朝からすでに疲れている。
食欲が変わった。
以前楽しめていたことを楽しめない。
仕事中の集中力も落ちてきた。
といった変化が続いているなら、帰宅後の過ごし方だけの問題として考えない方がよい場合があります。
厚生労働省は、うつ病の症状として、気分の落ち込みや興味・喜びの低下のほか、睡眠や食欲の変化、疲れやすさ、意欲の低下、集中しにくさなどを挙げています。ただし、こうした症状があるからといって、記事だけでうつ病と判断するものではありません。厚生労働省
大事なのは、
「仕事へ行けているか」だけではなく、以前の自分と比べて何が変わっているか
を見ることです。
家で動けない理由を、本人の気持ちだけにしない
帰宅後に何もできないと、
「もっと生活を整えないと」
「気合いを入れないと」
と考える人もいます。
本人ができる工夫もあります。
ただ、仕事側の条件も確認したいところです。
たとえば、
残業が増えていないか。
急な仕事が多くなっていないか。
休憩を十分に取れているか。
仕事中ずっと人に気を遣っていないか。
勤務時間外にも仕事の連絡を確認していないか。
仕事量を時間内に処理できているか。
「こころの耳」の疲労蓄積度チェックでも、こうした勤務状況や精神的負担、休息時間を本人の疲労と合わせて見ています。こころデジタル
つまり、
家で動けない本人を変えることだけではなく、
仕事で何に力を使っているのか
も整理する必要があります。
これは最新マスターで重視している、「本人の努力不足だけで説明せず、心理・発達・福祉・生活環境から見る」という整理にも沿います。 COCONOVA_投稿テーマ設計_検索戦略_完全統合マスターフ…
夜に全部取り戻そうとしない
帰宅後に動けない日ほど、
「夕食を作らないと」
「洗濯しないと」
「運動もしないと」
「せっかくの自由時間だから何か有意義なことをしないと」
と、できていないことが目につきます。
でも、すでに余力が少ない日に、夜の生活まで満点を求めると、さらに負荷が増えます。
そんな日は、
食事を簡単にする。
家事を一つだけにする。
今日やらなくてよいことを決める。
早めに横になる。
何もしない時間を取る。
という選択もあります。
これは、
「ずっと何もしなくてよい」
という意味ではありません。
今ある力に対して、今日何を担うかを調整する
ということです。
厚生労働省系の「こころの耳」でも、疲労を蓄積させないためには、負担を減らすことと、睡眠・休養を確保することが案内されています。こころの耳
「休めばいい」だけでも足りないことがあります
一方で、
毎日しっかり休んでいるつもりなのに疲れが取れない。
休日も横になったままになる。
好きだったことへの興味も薄れている。
睡眠や食欲にも変化がある。
仕事や生活への影響が広がっている。
という状態なら、
「もう少し休めば治る」
と本人だけで判断し続けない方がよい場合があります。
医療機関。
職場の産業医・保健師。
公的な相談窓口。
カウンセリング。
などから情報を得ることも選択肢です。
「こころの耳」では、働く本人や家族を対象に、電話・SNS・メールで無料・匿名の相談窓口を提供しています。こころの相談窓口
相談することは、
「もう働けない人がすること」
ではありません。
今の状態を整理するために、外から情報を入れること
として利用できます。
「まだ仕事に行ける」を、唯一の判断基準にしない
心身の状態が気になったとき、
「でも仕事には行けている」
という言葉は、安心材料にもなります。
実際に、働けていること自体は一つの情報です。
ただ、それだけで、
「だから問題ない」
まで決めなくてもよいでしょう。
仕事ができている。
帰宅後は動けない。
休日も回復しにくい。
眠り方が変わった。
以前楽しめていたことが楽しめない。
それらを一つずつ見ていく。
そして、
できていることと
残っている余力
を分けて考える。
そうすると、
「もっと頑張るべきか」
だけではなく、
休む。
生活の負担を減らす。
仕事の条件を見直す。
誰かに相談する。
医療機関から情報を得る。
という選択肢も見えてきます。
仕事へ行けていることと、
今の自分が十分に回復できていることは、同じではありません。
まずは、その違いに気づくところから整理できます。

