心理・福祉コラム

最近なんとなく気分が沈む

「秋だから」「気持ちの問題」と決める前に整理したいこと

9月の終わり。

最近、朝は起きられても、以前より支度に時間がかかる。

仕事や家事はこなしているけれど、終わるとぐったりする。

休日になっても、楽しみにしていたことに手が伸びない。

そんな変化はありませんか。

「特に嫌なことがあったわけではないのに、なぜだろう」

「季節の変わり目だからかな」

「気持ちの持ちようなのかな」

と考える人もいます。

気分が沈んだとき、すぐに原因を一つに決める必要はありません。

見るものは、気分だけではなく、

睡眠、疲れ、身体の状態、仕事や家事、人間関係、生活の変化。

いくつかの背景を分けてみると、今の自分に起きていることが少し見えやすくなります。

気分が沈むことと、「うつ病」は同じではありません

嫌なことがあった日や、疲れている日に気分が沈むのは、それだけで病気を意味するわけではありません。

一方で、

気分の落ち込みが続く。

以前楽しめていたことを楽しめない。

眠れない、または寝すぎる。

食欲が変わった。

疲れが取れない。

集中しにくい。

といった変化がいくつも続いている場合は、「最近ちょっと疲れているだけ」と決めずに状態を見る必要があります。

厚生労働省の情報では、気分の落ち込みや興味・喜びの低下などの症状が2週間以上続く場合には、専門家への相談が勧められています。

つまり、

「気分が落ちた=うつ病」でも、
「仕事へ行けている=問題なし」でもありません。

今までと何が違っているのかを見ることが一つの目安になります。

季節は「原因」ではなく、背景の一つかもしれません

秋から冬にかけて気分の落ち込みを繰り返す人の中には、季節性うつ病と呼ばれる状態に該当する人もいます。

厚生労働省委託「こころの耳」では、季節性うつ病について、特定の季節にうつ病を発症するもので、冬季型では日照時間の短縮との関連が指摘されていると説明しています。

ただし、

「秋に気分が沈んだ」

というだけで、季節性うつ病と判断できるわけではありません。

季節の変化と同じ時期に、

仕事が忙しくなった。

睡眠時間が変わった。

家族の予定が増えた。

夏からの疲れが残っているように感じる。

人間関係で気になることが続いている。

といった別の負担が重なっている人もいるでしょう。

だから、

「秋だから仕方ない」

と片づけるのでも、

「自分の気持ちが弱い」

と本人だけの問題にするのでもなく、

今の暮らし全体を見てみます。

「何ができなくなったか」だけでなく、「何に力を使っているか」

調子を考えるとき、

「仕事には行けている」

「家事はできている」

「普通に話せている」

という“できていること”だけで判断する人もいます。

でも、同じ行動ができていても、そこに使っている力は同じとは限りません。

以前なら30分でできていた支度に1時間かかる。

人と話したあとに強く疲れる。

仕事が終わったら何もできない。

休日のほとんどを寝て過ごしている。

こうした変化があるなら、

「できているか」だけではなく、「どれくらい力を使っているか」

も見てみる価値があります。

困りごとと、その人自身の価値は別です。

以前と同じように動けない日があったとしても、そのことで人としての価値が下がるわけではありません。

必要なのは、自分を評価することより、

今の自分がどれくらいの負荷の中にいるのか

を知ることです。

気分だけではなく、「心と暮らし」を分けてみる

今の状態を整理するときは、たとえば次のように分けられます。

心の状態

気分の沈み、不安、イライラ、意欲など。

身体・生活

睡眠、食欲、疲労、体調、生活リズムなど。

仕事・学校・家事

最近忙しくなっていないか。負担の大きい役割が増えていないか。

人間関係

気を遣い続けている関係や、気になっている出来事はないか。

環境の変化

季節だけでなく、勤務、家庭、予定、生活環境などに変化はなかったか。

全部を細かく分析する必要はありません。

一つでも、

「ここは最近変わったかもしれない」

と気づければ、それが整理の入口になります。

「元気を出す」以外にも選択肢があります

気分が沈んでいると、

「何か楽しいことをしなければ」

「運動しなければ」

「もっと前向きに考えなければ」

と思う人もいます。

それが合う日もあるでしょう。

でも、今の自分に必要なのが、

予定を減らすこと。

早めに休むこと。

誰かに話すこと。

仕事や家事を少し調整すること。

何も決めずに過ごすこと。

という場合もあります。

自分で整えるとは、一人で全部解決することではありません。

情報を聞く。

人に相談する。

提案を受ける。

そのうえで、

やってみる。

今はやらない。

保留する。

別の方法を選ぶ。

という選択もできます。

「秋だから」で終わらせず、変化の続き方を見る

もし最近、

「なんとなく気分が沈む」

と感じているなら、

原因を急いで一つに決めるより、

以前の自分と比べて、何が変わっているだろう?

と見てみます。

睡眠でしょうか。

疲れでしょうか。

仕事でしょうか。

人間関係でしょうか。

生活の変化でしょうか。

それとも、いくつかが重なっているのでしょうか。

気分の落ち込みや、楽しめない状態、睡眠・食欲・疲労などの変化が2週間程度続き、生活への影響が大きくなっている場合は、精神科・心療内科など専門家へ相談することも選択肢です。

また、「消えてしまいたい」「死にたい」と感じる場合は、期間を待たず、医療機関や身近な相談窓口へつながることが大切です。

季節のせいにする。

自分のせいにする。

そのどちらかに決める前に、

今、自分の心と暮らしに何が起きているのか。

そこから整理してみる。

それが、次の選択肢を考えるための入口になります。

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