心理・福祉コラム

最近、人に会いたくないとき

「一人でいたい」で終わらせる前に確認したいこと

土曜日。

友人から、

「久しぶりにご飯でもどう?」

と連絡が届く。

嫌いな人ではない。

会えばたぶん楽しい。

以前なら、そのまま予定を決めていた。

でも今は、

「今日は誰にも会いたくないな」

と思う。

返信を考えることさえ少し重い。

予定が入ると、それだけで疲れそうに感じる。

そんな自分を見て、

「人付き合いが嫌になったのかな」

「こんなに一人でいたいなんて、おかしいのかな」

と気になる人もいます。

先に全体像をお伝えすると、「人に会いたくない」という気持ちだけで、すぐに病気とは決まりません。

疲れていて、一人になることで回復しようとしていることもあります。

一方で、

以前は楽しめていた人付き合いを避けるようになった。

誰から連絡が来ても負担に感じる。

睡眠や食欲、疲れ方まで変わっている。

という状態なら、心身の不調も含めて少し広く見る必要があります。

まず、

「一人で休みたい」のか。
「人と関わる力そのものが残っていない」のか。

ここを分けてみます。

一人でいたいことと、孤独であることは同じではありません

「人に会いたくない」

と感じると、

「孤立してしまうのでは」

と心配になることがあります。

ただ、一人で過ごすことそのものと、孤独・孤立は同じではありません。

内閣府は、「孤独」をひとりぼっちと感じる主観的な状態、「孤立」を社会とのつながりや助けが少ない客観的な状態として分けています。内閣府

一人で過ごして、

「やっと休めた」

と感じる人もいます。

逆に、人に囲まれていても、

「本音を話せる人がいない」

と孤独を感じることもあります。

だから、

一人になる=悪いこと

と決める必要はありません。

大事なのは、その時間が自分にとって何になっているかです。

「会いたくない」の中身を小さくしてみる

同じ「人に会いたくない」でも、中身は違います。

たとえば、

疲れていて、休みたい

仕事や家事で一週間使った力を回復したい。

会うための準備までしんどい

予定を決める。

支度する。

移動する。

時間を合わせる。

そこまで考えるだけで負担になる。

会っている間、ずっと気を遣う

相手の表情を見る。

話題を考える。

沈黙にならないようにする。

言いたいことを飲み込む。

特定の人とは会いたくない

誰にも会いたくないのではなく、ある関係だけが負担になっている。

以前楽しめた人付き合いまでしんどい

人だけでなく、趣味や外出への意欲も落ちている。

こうして分けると、

「自分は人嫌いになった」

という大きな結論ではなく、

何に力を使っているのか

を見やすくなります。

今回分けたいのは「一人で回復する」と「人を避け続ける」

今回の記事での小さな整理は、ここです。

人と会う予定を断って、

一人でゆっくりした。

少し眠った。

好きなことをした。

翌日は少し楽になった。

そんな場合は、一人になることが休息として働いている可能性があります。

一方で、

人に会わない。

連絡も返せない。

外出もしなくなる。

以前好きだったことにも興味がわかない。

それでも休まった感じがしない。

という状態なら、単に「一人が好き」という話だけではないかもしれません。

厚生労働省委託「こころの耳」では、こころの不調のサインとして、気分の落ち込み、何事もおっくうになること、疲れが取れないことに加え、人との接触を避けるようになることも挙げています。これらの変化が10日〜2週間以上続く場合は、注意して状態を見る目安としています。こころの耳

「会えば楽しいのに疲れる」なら、会っている間を見る

友人と会った日は楽しい。

笑って帰ってきた。

それなのに、家に着いた瞬間ぐったりする。

そんな場合は、

「会ったかどうか」

だけではなく、

会っている間に何をしていたか

を振り返ります。

たとえば、

相手が楽しんでいるか気にしていた。

自分の話より相手の話を優先していた。

帰りたいと思っても言えなかった。

本当は断りたい話題にも合わせた。

いつも明るく振る舞っていた。

こうしたことが重なれば、

「人と会うこと」そのものより、

関係を保つために無理をしていること

に力を使っている場合があります。

人間関係は、つながっていればよいわけではありません。

その関係の中で、自分の本音をどれくらい置いておけるか。

そこも、疲れ方を考える手がかりになります。

誘いを断ることと、関係を切ることも同じではありません

疲れているのに、

「断ったら嫌われるかも」

「次から誘われなくなるかも」

と考え、無理に予定を入れる人もいます。

でも、

今日は会わない。

今週は予定を入れない。

少し先にする。

という選択と、

「もうこの人とは関係を持たない」

は別です。

たとえば、

「誘ってくれてありがとう。今週は少し休みたいから、また余裕のあるときに」

と伝える方法もあります。

毎回、詳しい理由を説明する必要もありません。

つながりを守るために、いつも自分を合わせ続ける必要があるか。

そこは選び直してもよい部分です。

「人に会うべき」と「一人でいるべき」の二択にしない

人付き合いに疲れていると、

「もっと人と会った方がいい」

という助言を受けることがあります。

逆に、

「無理して会わなくていい」

だけでも整理しきれません。

必要なのは、

今は一人で休む。

短時間だけ会う。

電話やメッセージだけにする。

会いたい人だけ会う。

予定を少なくする。

誰か一人には今の状態を話しておく。

というように、つながり方を調整することです。

我慢して人と群れることも、

本音を守るために一人になることも、

本人が選べます。

ただし、自分が望んで一人になっているのか、それとも心身の余力がなく、望まないまま関係がすべて途切れているのか。

そこは分けて見ておきたいところです。

「人に会いたくない」以外にも変化がないか

一人でいる時間が増えたときは、それだけを見ず、

睡眠はどうか。

食欲は変わっていないか。

疲れは取れているか。

仕事や家事は以前と比べてどうか。

好きだったことを楽しめているか。

気分の落ち込みが続いていないか。

も確認します。

「こころの耳」でも、睡眠・食欲・疲労・気分・おっくう感・対人行動などを、単独ではなく複数の変化として見ることが示されています。こころの耳

だから、

「人に会いたくない=うつ」

でも、

「一人でいたいだけだから大丈夫」

でもありません。

今までとの違いを見ることが大切です。

一人では整理しにくいときは

誰にも会いたくない状態のとき、

「相談するために人と話すこと自体がしんどい」

という人もいます。

その場合、相談方法も選べます。

厚生労働省委託「こころの耳」では、電話だけでなく、SNSやメールによる無料・匿名の相談も用意されています。こころの相談窓口

今すぐ誰かに会う。

長く話す。

という方法だけではありません。

文字で相談する。

一度情報だけ見る。

今は使わず、相談先だけ知っておく。

という選択もできます。

「誰にも会いたくない」と思った日に見ること

人に会いたくない。

そんな日は、

「こんな自分はおかしい?」

と評価する前に、

一つ確認してみます。

一人になったあと、私は少し戻れている?

休まる。

ほっとする。

また誰かと話せそうになる。

なら、今は一人になる時間が必要なのかもしれません。

一方、

一人でいても回復しない。

以前好きだった人にも会えない。

日常生活まで狭くなっている。

という状態なら、心身の疲れも含めて誰かと整理してみる方法があります。

人とつながることが正解なのでも、

一人でいることが正解なのでもありません。

今の自分は、どんな距離なら無理なくいられるのか。

そこを選べること。

それも、人との関係を整える一つの方法です。

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